私が退職を決断するに至った理由

当時私は、障がいを持つ子どもと関われる、出来れば正職員として採用してくれそうな職を希望し仕事を探しておりました。 求人誌やネットを通じてやっと見つけたところは、自宅からは1時間半は掛かる自分の希望よりもかなり遠い勤務地となる職場。 悩んだ末に話だけでも聞いてみようとその職場を訪れました。

結局は面接を受ける形となったのですが、 一軒家を利用したそこは、ヒーリング効果がありそうなとても落ち着いた空間で、すぐに虜となってしまいました。 経営者の簡単な話を聞きながら、はじめはお手伝い的に月数回の勤務から始める形で勤務スタートとなりました。 当時、別に仕事をしていたのでそれでも十分でした。

数か月経つと経営者から、職員が退職するので正式にフルの日数で勤務して欲しいとの依頼がありました。 フルと言って時間はパートタイムで時給は当時の仕事より低く、交通費は満額は出ない、とマイナス面が多かったのですが、 慣れてきたら、次期新たに設立する予定の会社に正社員として勤務して欲しいと言われ、正社員になった際の賃金(電卓を使用しながらその場で計算) や就業時間などまだ何も決まっていない最中にいろいろな条件を提示してきました。この巧みな言葉にすっかりその気になってしまった自分が今思い起こすと 単純だったな、と反省してしまいます。 子ども達と関われるこの仕事の面白さが大きくなってきていたので、正職員になれるかどうかはともかく取り敢えず毎日の勤務を希望し、勤めていた職場は 退職することになりました。

私の毎日の勤務がスタートすると、まずはそれまでの勤務体制がガラリと変わりました。土日祝はお休みだったのに、土曜日は毎週勤務となりました。 私が、勤務することになったので人が確保できたと同時に職場の体制を変えたのです。ここでなんとなく間に合わせ間に合わせで活動しているのかな、と少し不安になりました。 雇用契約書には、昇給の欄に、資格・経験・実績に応じると記されてありました。これを信じて今はパート勤務で給料は低いが、いずれ正職員となりお給料もUPするのだろうと思いながら勤務に励んでいました。仕事に慣れるべく5か月ほどが過ぎていきました。

ところが、新しく設立する会社の話は出てこなくなりました。月日だけがどんどん過ぎ去り、そのうち別の職員が加わり今度はその方が正職員を目指すことになったとのこと。 話がみえず、知らず知らずのうちにうちわだけで話はどんどん変わっているのが見えてきました。しかし、また話はストップしてしまいます。新しく入った職員は3ヶ月経たぬうちに正職員の希望は無かったことにするとの事。理由は、あまりにも仕事内容(勤務時間や勤務の進め方など)に納得がいかないとのことでした。 その話を聞き、私は言葉で上手く表現出来なかったのですが、私がこの職場に対して一歩踏み出せなかった理由とリンクしていました。その方はハッキリと経営者に伝えていました。しっかり自分の意志や気持ちを伝えることも出来ない自分がこの職場で正職員になるのは厳しいことだとこの時深く痛感しました。

そのままパートの勤務体制でやっていこうと決め少ない給料を覚悟で続けていきました。

契約更新時期にきて新たに契約書をもらうと、そこには「昇給」の欄がそっくりそのまま削除されていました。それを見て大きなショックを受けました。 経営者は思い立つとすぐに経営方針を変える姿は何度も見てきましたがこれには驚きました。それでもこちらからは何も言えずそのまま何年か過ぎましたが、結局一度も一円たりとも昇給はありませんでした。この職場が好きで、子どもに対する指導法が好きで遠くから通い勤務していましたが、給料面を考えると納得ができませんでした。 ここで勤務したことへの後悔はありません。楽しくて勉強にもなり、学んだことはいっぱいあります。 ただ、経営者の巧みな言葉と、情の無さ、コロコロ変わる方針に不信を持ち一年くらい悩み先日退職しました。 次回、就職する際には今までの経験を踏まえてよく考え行動しなくてはと思わせる職場でした。