退職を決意するまでとその後

学校卒業後は大手のメーカーに就職しました。学生時代に自分の仕事の方向性を決めていなかったため、親にすすめられるまま、親戚の縁故で入社しました。親と仲が特別よかったわけでもありませんが、首都圏に住んでおり、学校も就職先もあえて一人暮らしをしてまで遠方にする必要がなかったため、親元を離れるという考えは全くなく、親に気を使っていたのかもしれません。大きい会社だったので待遇に不満はありませんでしたが、仕事は事務職で、自分主体ですすめるというよりは指示されたものを指示通りにこなすという

性質のものが多く、仕事にやりがいを見つけることができませんでした。転職する友人も多く、刺激されて自分もと考えもしたのですが、もともとが慎重な性格でしたし、親戚の縁故で入社した手前もあり、たとえ仕事でげんなりするようなことがあっても勢いで辞めるようなことはできませんでした。仕事に対するモチベーションは低かったですが、お給料はそれなりによく、有給休暇も取得しやすく、特に女性は出産後も仕事を続けやすいような仕組みが確立されていたため、仕事のやりがいを求める気持ちにふたをしてこのまま働き続けようという気持ちもありました。

そんな中、仕事で色に関することを引き受ける機会があり、こんな世界もあったのだと大変興味を持ちました。そこでカラーコーディネーターの資格をとり、社内で仕事に活かせないかと思いましたが、色に関する仕事は単発的に入ったものでしたので今後そのような仕事をする機会はないように感じました。そこで、色の勉強の延長でインテリアコーディネーターの資格を知り、勉強をはじめたところ、勉強すればするほど興味深く面白いという感覚にとらわれ、インテリアコーディネーターの資格を取得し転職したいと強く感じました。ちょうどその頃おつきあいしていた男性とご縁があり結婚することになったので、表向きは結婚退職ということで円満退職し、本格的に転職の準備をはじめるため学校に通いはじめました。学校に通わなくても独学で資格は取れそうだったので、そのまま働き続けながら資格を取得しそれから転職活動してもよいと思いましたが、今まで経験してきた仕事と畑違いだったため、資格がとれても就職先のあてが全くなく、学校に通うことで仕事に関するいろいろな情報を得ようと考えました。 そのようにして学校を卒業した後は学校のつてで知った会社にアルバイトで入社しインテリアの販売の仕事をはじめました。その後契約社員になり、やりがいを感じる分野で思う存分働きました。忙しさは前職の比ではなくお給料も契約社員のため前職より下がりましたが、正社員であればかなり上がっただろうと思われます。入社した会社は国内各地に支店があり、正社員はどこへでも転勤できることが条件でしたので、結婚していた私は正社員になるということまでは考えませんでした。それでもやりがい重視の私は契約社員でも十分満足でした。

結果的には転職したことに満足していますが、やりがいのある仕事に出会うまで約10年かかってしまいました。前職が意心地がよかっただけにのんびり過ごしてしまいましたが、10年もたってしまうと、特に女性は生活に変化があることが多く思うように働けなくなってしまうことが多いため、もっとスピード感を持って動けばよかったと思いました。私ももし前の会社で5~6年勤務したところで転職していれば、転職先で正社員でバリバリと働く経験を持つことができたかもしれません。

本来であれば最初の就職前、学校を卒業するまでに自分の興味の方向性を見極めるのがベストかと思います。それでも就職した後「違ったかもしれない」と感じる時はあるかもしれません。そんな時は長くても5~6年勤務したら行動したほうがよいと感じました。ただし、入社してから退職するまでの期間があまりに短いと逆に次の転職先に飽きっぽい、すぐ辞めるかも、などとネガティブな評価を受けかねませんので、やはり一度入社したからには3年くらいは真摯にその仕事に取り組むほうがよいかと思います。例え不本意な仕事だったとしても3年も働けば立派なキャリアになります。転職した際にも活かせるスキルのひとつとしてアピールできる材料になります。

やりがいを求めて退職することはよくあることだと思いますが、たとえやりがいがないと感じて働いていたとしてもその会社から学んだことを次の仕事に活かせる機会が必ずあるので、どのような仕事でも前向きに仕事に取り組むことは大事だと思います。また、後々に「あの時の経験はムダではなかったのだ」と感じることは人生の糧にもなるのだと感じました。